専門業者が実際に行っている工事内容について、写真や図面を交えながらわかりやすく解説します

便器交換の目的

 

便座の交換について解説します。今回、便器を交換する目的は節水です。

 

便座にはメーカーや型によって排水能力に差があります。排水能力が異なると、「一度の排水に使用する水量の差」や「音の静かさ」に違いが表れます

 

今回、一回当たりの排水量が9リットルから4リットルのものに交換したときの様子を記します。この家族は一世帯6人で住んでいますが、今回の便器交換により、毎月あたりの水使用量で約300リットルの節水に成功しました。

 

作業手順とリスクの確認

 

トイレタンク手洗

便器交換をする時の大きな作業の流れは、

 

「既存便器の撤去→新規便器の設置」 です。

 

まず、古い便器を外してから、新しい便器を取り付けていきます。

 

便器を交換するときに起こりうる、最大の問題は「漏水」です。

 

漏水してしまうと周囲が水浸しになってしまい、床がダメになってしまうこともあります。そこで、絶対に漏水しないように作業をします。

 

右の写真は工事前の写真です。

 

 

作業中に漏水をしないために、以下の4つのポイントを押さえましょう。

 

作業前、止水栓を閉めて水を止めてから作業をはじめる
解体時、排水をしながら作業をする 
設置時、部材と部材の接続部の止水を確認しながら作業をする
作業後、止水栓を開ける前に水の流れを最終点検する

 

1つ1つの作業をあせらず、確実に進めることでリスクを回避することができます。便座の交換は、各メーカーの施工手順書を確認しながら作業をします。

 

便器交換の作業手順

 

以下、「便器交換の手順」について解説をしていきます。

 

1、作業環境を整える

便器交換

作業の前に作業環境を整えます。

 

作業をやりやすくするために、トイレ内の手すりをいったん外します。作業環境を整えることで作業の効率が上がり、短時間で質の良い仕事ができます。

 

外した手すりとネジは復旧するときに使うので、なくならないように1箇所にまとめて置いておきます。ネジやワッシャーなどの小さなものはマスキングテープでまとめ、手すりに付けておくと無くなりにくいです。

 

作業中、排水管から「強いにおい」がしてくるため、作業はマスクを着用します。

 

2、止水栓を閉じて水を流す

便器交換

次に止水栓を閉じて水を止めます。

 

止水栓には、「ドライバーで開閉するタイプ」「手掛けで開閉するタイプ」「コックで開閉するタイプ」などがあります。

 

「水を止めておくためのもの」という意味では、止水栓の役割はどれも同じです。

 

ここでは、マイナスドライバーを使用します。この作業は、必ず「手回し式」のドライバーを使用しましょう。「電気式」のドライバーを使用すると、ネジを回しすぎてしまう可能性があり、これが止水栓の破壊につながることがあります。

 

 

便器交換

止水栓の閉じ水を止めた後は、タンク内の水を流して水を空にします。タンク内の水をなくさないと、タンクを取り外したときに水があふれてしまうからです。

 

レバーだけではタンク内の水が完全に流れないため、雑巾やスポンジを使い、タンクの排水口から水を流します。

 

水を流したら、タンク裏に接続されている給水のホースを外します。給水のホースを外すと、タンクの蓋を外すことができます。

 

給水のホースを外すコツは「タンクの蓋を半分開き、ふたを傾けながら作業をする」ことです。

 

 

 

 

3、給水管を外す

便器交換

給水管を外します。

 

排水管はナットで固定されています。給水管を外すために「モンキーレンチ」という道具を使います。はじめが一番かたいので、ナットを外すときは最初に大きな力を使います。

 

このときの注意点は、からだの体勢を整えてから徐々に力を加えていくことです。大きな力を使うからといって無理な体勢で急に力を加えてしまうと、からだを痛めてしまうことがあるからです。

 

モンキーレンチでナットを回す時にタンクが動いてしまう場合は、片手でタンクを抑えながらナットを回すようにします。

 

給水管が外れたとき、給水管内の水が出てくるため、前もって「バケツ」と「雑巾」を用意しておきましょう。

 

4、便座の取り外し

便器交換

温水便座の取り外しですが、先に便座に水を送り込む「給水ホース」を外します。(右写真右列)このホースはコック式のため手で外すことができました。

 

次に温水便座と便器を固定しているナットを外します。(右写真左列)

 

今回、温水便座を固定していたのは、ゴム製ナットでしたが、このナットが経年劣化のため割れていました。ゴムが割れた原因は、「ナットにトイレの水が付着した」ことや、「便座が冬になると温められるので、その熱がボルトを伝いナットへの温度差が生じた」ことが考えられます。

 

このナットはボルトの径に合わせて、取り付け時に「ステンレス製のナット」と交換しました。

 

便器交換

これで、温水便座の取り外しまで完了です。

 

便器の外観はきれいに使用されていましたが、便座を外した時に「汚れ」がでてきました。これは便器と便座がボルトで固定されているため、普段は見えない「便器と便座のスキマにある汚れ」です。

 

この場合は汚れを直接清掃できないため「半年から1年ごとに便座を外し定期的に清掃する」ことにします。

 

清掃の基本ですが、「清掃は目に見えるところだけではなく、目に見えないところが大切」なのだということを感じます。

 

5、旧タンクを撤去

便器交換

古い便器のタンクを外します。

 

タンクとは、便器の上にある、水を溜めておくための容器のことです。

 

タンクを外す前に「タンク内に水が溜まっていないか」を確認します。水がある場合はスポンジや雑巾を使い、タンクの排水口から便器へ水を流します。

 

タンクを外すため、タンクを固定しているナットを外します。ナットは2か所あるので、この2か所のナットを外すとタンクが外れます。

 

 

便器交換

これで、タンクの取り外しまで完了です。

 

 

 

 

 

 

 

6、旧便器を撤去

便器交換

古い便器を取り外します。

 

タンク取り外しの作業と同じように、便器を外す前に便器内の水をとります。便器には「トラップ」という仕組みがあり、トラップ内には水が溜まっています。この溜まっている水はバケツとスポンジなどを使ってとります。

 

トラップ内の水を取ると下水のいやなにおいがしてくるため、ここからは必ずマスクを装着して作業をします。

 

トラップの水を取ったら、床に固定されているビスを外しましょう。(右写真)
ここでは充電ドライバーとモンキーレンチの150ミリタイプを使います。

 

狭い場所での作業のため、小回りがきくよう「長さの短いビット」や「小さなモンキーレンチ」を用意します。ビットとは「電気ドライバーの先に付けるネジを回すための道具」です。

 

便器交換

このネジ2か所とナット2か所の「計4か所」外すことで、便器を床から取り外すことができます。

 

古い便器の取り外しまで完了しました。

 

7、旧便器排水ベース撤去

古い「便器の排水ベース」を取り外します。

 

ベースとは土台という意味で、ここでは「便器と排水管をつなぐ」という役割をします。便器の交換をするため、便器のベースを古いものから新しいものに交換しなければなりません。ここでは交換のための撤去について説明します。

 

便器交換

写真左上は古い便器の排水ベースです。排水管と排水ベースが強力に接着されていたため、引っ張っても取れません。

 

そこで、ノコギリと木材を用意して古い便器の排水ベースを水平方向に切断しました(写真右上)。この時に用意した道具は塩ビパイプを切るための「パイプソー」と「20ミリ角の木材」です。

 

配管の切断完了です(写真右下)。

 

排水管の内側に白色の「配管ベースの立ち上がり」があるのを確認しました。この「配管ベースの立ち上がり」をとるために、カッターと先の細いペンチを使用します。このときの注意点は、排水管の中に「配管ベースの立ち上がり」が落ちないようにするということです。

 

「配管ベースの立ち上がり」を外し終わりました(写真左下)。排水管と配管ベースの立ち上がりの接着が強力だったため、配管の一部が破損してしまいました。この破損の修復については、次の項で説明をします。

 

8、排水管の補修

「新しい排水ベース」を取り付ける前に破損した排水管を補修します。

 

便器交換

塩ビ用の接着剤を用意します(写真左上)。

 

補修用の部材をカットし接着剤を付けます(写真右上)。

 

カットした部材を排水管に固定します(写真右下)。乾くまでドライヤーで乾燥させると、乾燥時間が短なります。ドライヤーを使い約3分で接着剤を乾燥させ、固定させることができます。

 

ビニールテープを貼ります(写真左下)。幅50ミリのビニールテープを排水管の縦方向に貼り、補修した部分を覆います。このときのポイントは「排水管の水分をよく拭き取る」ということです。

 

9、新便器排水ベースを設置

新しい便器用の排水ベースを取り付けます。

 

便器交換

補修をした排水管です(写真左上)。

 

排水管にコーキングをします(写真右上)。コーキングとは建物の防水性や気密性を高めるために施されるもので、住宅では主に、室内の水回りや室外など幅広くに使われるものです。

 

コーキング後の写真(写真右下)。コーキングは排水の経路をふさがないよう、厚みを持たせるように打ちます。このコーキングがしっかりとできていないと、排水時に水がもれてきたり、においが出てきたりすることになります。コーキングを打つことを充填(じゅうてん)といいます。

 

新しい便器用配管ベースの取り付けが完了しました(写真左下)。コーキングがしっかりと接着するように、ベースの方向を変えずに2〜3周回します。

 

新しい便器用の排水ベースを取り付けたら、「便器固定用の台座」と「スペース確保用の台紙」をとり出します。これは便器本体と一緒に同封されているものです。

 

便器交換

排水ベースに「スペース確保用の台紙」をつけ、「便器固定用の台座」を床に取り付けます(写真左側)。

 

便器固定用の台座を取り付けたら、台紙をとりはずします。(写真右側)

 

 

10、新便器を設置

便器交換

新しい便器を設置します。

 

固定は、「便器固定用の台座に打つビス1か所」と「便器の後ろに出ているボルトにナットを締める2か所」の計3か所です。

 

 

 

 

便器交換

右の写真は便器のボルトを固定する写真です。

 

白い便器の穴にボルトが貫通しています(写真上段)。

 

ボルトにワッシャーとナットを取り付けます(写真中段)。ナット取り付け時、ワッシャーを入れ忘れないように注意しましょう。ワッシャーは便器を広く押さえることで固定の強度を増すことができ、便器本体の「割れ」を防いでくれます。

 

ボルトの頭に白いキャップをかぶせます(写真下段)。ここで使用する、「ワッシャー」「ナット」「キャップ」は付属品です。

 

 

 

11、新タンクを設置

便器交換

新しいタンクを便器の上に固定します(右写真)。

 

タンクからボルトが出ているため、このボルトを便器の穴に通します。便器の裏側から、ワッシャーとナットを使いタンクを固定します。

 

 

 

 

便器交換

タンクの取り付け完了です(右写真)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

便器交換

タンク内のホースを接続します(右写真)。

 

この作業はそれぞれのメーカーや型番で内容が異なるため、購入時に付属されている「施工手順書」をよく確認しながら作業しましょう。

 

12、給水管を接続

止水栓から新しいタンクに水を送るために給水管を接続します。

 

便器交換

給水管と新しいタンクのホースを接続しました(写真上段)。

 

給水管にパッキンを乗せました(写真中段)。青色のものがパッキンです。ここで使用するパッキンは自分で用意するものです。

 

給水管を止水栓に接続しました(写真下段)。

 

13、温水便座を設置

便器交換

温水便座を固定します。

 

便器の穴に便座のボルトを通し、ナットを締めます。

 

ゴム製のナットが割れてしまっていたためにステンレス製のナットを別途購入し、便座を取り付けました。

 

 

 

 

 

 

便器交換

温水便座の給水ホースを接続します。

 

この作業は手作業で行います。

 

14、止水栓を開けて水を通す

便器交換

止水栓を開けて水を通します。

 

まず、タンク内に水が溜まるかを確認します(写真上段)。この時、タンクの外に水が出ないように注意しましょう。

 

タンク内に水が溜まることを確認できたら、蓋を閉めます(写真中段)。

 

タンク内側の蓋を閉めたら、タンク本体の手洗い付きの蓋を閉めます(写真下段)。

 

 

 

 

15、完成

トイレタンク手洗

これで、便器の交換作業が完了しました。

 

今回は便器とタンクを交換しましたが、温水便座は旧タイプのものを使用しました。

 

右の写真は交換後の写真です。

 

新タイプの便器に旧タイプの便座を固定することができましたが、便座の足と便器の淵が合わないため、少し不安定な状態になるときがあります。

 

温水便座は高価であり使用上の問題はないため、新しいものは買わずに旧タイプの温水便座を使用しています。

 


HOME サイト紹介 お問い合わせ